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建設現場と英語と時々ギター

アメリカでの仕事の経験をベースに翻訳やら通訳やらしています。ギターが趣味です。

建築用語~さ行

採光(さいこう) day lighting; lighting; natural illumination: 居室に求める採光上有効な開口面積は採光面積でdaylighting areaまたはopening area for day lightingです。日本の建築基準法では、居室に採光のための開口部の設置を義務付けられています。

サイディング(さいでぃんぐ) siding: 外壁に使用するボード類で合板系、石綿セメント板系、金属板系などがあります。

在来工法(ざいらいこうほう) conventional construction method: 柱 column、梁 beam、筋かい brace など軸部材 shaft member の組合せで構成される日本の伝統的な工法。最近は筋かいの代わりに構造用合板(面材 face material)を用いることも多いようです。=軸組工法 framework construction method。

座金付ボルト(がねつきボルト) bolt with washer: ホールダウン金物 hold down hardwareと土台、梁の緊結のために使うボルトの一つのことです。

産直住宅(さんちょくじゅうたく): 林産地の素材をその地域で製材加工し、住宅需要地へ中間の流通をカットして木造住宅の建設をする生産方式。日本の山林の荒廃をこれ以上進ませないようにという目的もあります。これは私も今回初めて知ることになった用語です。直訳すればhousing built by materials directly delivered from producersとなりますが、ちょっと長すぎますね。

直張り(じかばり) direct application: 板などを張る場合に下張りを設けず、直接下地に張る工法。

上棟式(じょうとうしき) framework completion ceremony: 上棟式平安時代初期から行なわれている建物の守護神と匠の神を祀って、棟上げまで工事が終了したことに感謝し、無事、建物が完成することを祈願する儀式のこと。The Joto-shiki has been held since the early Heian period (794-1185) to enshrine the building's guardian deity and the god of craftsmanship, and to thank them for completing the building framework process and to pray for the safe completion of the whole building construction.  英語のframework completion ceremonyとではその意味合いがだいぶ違います。アメリカではTopping out ceremonyと言う言葉もよく聞かれました。鉄骨の最後のピースを吊り上げる際にアメリカ国旗と会社名やロゴの横断幕をつけて吊り上げたりします。

捨てコンクリート (すてこんくりーと) leveling concrete, sub-slab concrete: 基礎のフーチング foundation footingや土間コンクリート slab on gradeを打設する前に、割栗や砕石地業の上に打つコンクリート。基礎の底面を平らにし,構造体の位置を決めるために敷くコンクリート

層間変形角(そうかんへんけいかく) story deformation angle地震時に対する建物の水平変位(horizontal displacement)を階高で割った(divided by the floor height)値のこと。 

建築用語~か行

外構工事(がいこうこうじ): 建物本体以外の外部廻りの工事。舗装工事、排水工事、造園植栽工事などを意味します。英訳を検索するとlandscaping workと訳されていることが多いのですがlandscaping には植栽工事に関係する要素が多い印象があり、一般に外構工事には舗装、雨水排水、照明など様々な構造体、設備が含まれるので個人的にはこの役は採用していません。いろいろと試行錯誤した結果現在はexterior improvement workとしています。

被り(かぶり):コンクリート表面から鉄筋、鉄骨までの被覆厚。この場合の「被り」はcoveringconcrete coverまたはcover concreteと文脈に従って訳せます。「土被り」の場合はoverburdenまたはearth coveringとなります。

切妻屋根(きりづまやね):屋根の最頂部の棟から地上に向かって二つの傾斜面が本を伏せたような山形の形状をした屋根。gable roofと訳します。

栗石(くりいし):直径15センチメートル 前後の大きさの石。地盤固めや石垣の埋め石などに用いる。「栗石」単体であればcobblestoneと訳されますが、「割栗石」がよく見受けられます。この場合の訳はrubbleあるいはriprap(捨石)となることがあります。

グルニエ(ぐるにえ)Grenier:フランス語で屋根裏部屋(attic、garret)のこと。ロフトと似ているが、ロフトが天井高を高くして部屋の一部を2層式にした上部スペースのことをさすのに対し、グルニエは屋根裏を利用した収納スペースのことを指す。

蹴上げ(けあげ):階段の一段の高さ。riseまたはriser

蹴込み(けこみ):階段の踏板先端から下の踏板の足の踏込み部分が引っ込んでいる部分のこと。この説明は「蹴込み寸法」であって、普通「蹴込み」は蹴込み板を指しriserとなります。「蹴込み寸法」は踏板(tread)が下の段より前に出ている寸法を指すのでtread projectionが適切かと思います。

高規格住宅(こうきかくじゅうたく):住宅金融公庫融資住宅の一つで、良質な住宅建設への誘導を目的としている。高規格はhigh-gradeと訳されますが、この例の場合「住宅金融公庫融資」と言うキーワードを反映させた方がいいと思います。High Grade Dwelling Unit(s) financed by the Housing Loan Corp.としてはどうでしょうか。

構造用合板(こうぞうようごうはん) structural plywood: 建物の構造耐力上主要な部分に使われる合板で特類(Special Category)と1類(Category 1)がある。(補足:調べたところ構造用合板の特類、1類は接着部分の耐久性の性能を示し、構造用以外の合板を含むと2類もあります。)

構造用集成材(こうぞうようしゅうせいざい) structural glued laminated wood (member):挽き板を繊維方向に組合せ、接着剤で接合した木材加工製品。節などの欠点を取り除いてあるので強度のばらつきが少なく、狂いや割れが生じにくい。また耐力が大きく3階建て木造住宅ではよく使われている。1980年代アメリカの住宅建設ではよく根太(floor joist)材にこの種の材料が使われていました。"Glue-Lam Timber"のように呼ばれていました。強度はあり、品質のばらつきも少ないのですが、結構重いです。

 

建築現場で使われている!用語集 | 工事現場ドットコム - 工事現場のことならすべてが分かるサイト

翻訳支援ソフトからニューラル機械翻訳へ

私が在宅でフリーランス翻訳を始めたころから翻訳支援ソフトとCD-ROM用語辞典を使用しています。今現在もPCにインストールされているのは、

翻訳支援ソフト:ATLAS (V14) (Fujitusu)、と

180万語対訳辞典(日外アソシエイツ)です。

IT系の翻訳ではTradosが昔から多く使用されていましたが、建設土木系の場合、「繰り返し使われるフェーズが少ないので翻訳メモリが余り使えない」「複数の翻訳者が協同で一件の翻訳案件に取り組むことが少ない」こともあり、原文ファイルに訳文をそのまま反映できるソフトで比較的入手しやすいものを選びました。

翻訳支援ソフトを使うことにより、翻訳原稿が読み取り可能なフォーマットであれば、訳抜け、頻出用語の訳ブレの回避、スペルミスの抑制、翻訳メモリの活用などで作業効率は改善されます。その一方、翻訳支援ソフト自体の「翻訳能力」はソフトに内在するルールとプログラムによって決まるので訳文自体は翻訳者の修正が必要になります。翻訳者の能力がこの修正の水準を左右します。

私の経験からすると建設土木関連文書は、その原稿を作成する個人・組織の「個性」が大きく反映されていて(標準化がされていない)、まったく聞いたことのない用語が割と頻繁に出てきます。従来の機械翻訳ソフトや翻訳支援ソフトは、こういった特異な用語が入るとかなり翻訳精度が落ち、翻訳不能になることもありました。

ここ数年、Google翻訳のようなニューラル機械翻訳が広く使われるようになってきて、私も気になっていましたが、ニューラル機械翻訳自体の持つ弱点があり、実際の翻訳への適用を控えていました。

弱点には以下のものが含まれます。

・専門用語の間違い(誤訳、略語の誤判定)
・訳揺れ(文章間で異なる訳語)
・訳もれ(単語、文章単位、肯定/否定)
・並列関係の間違い
・フローティング(単語、フレーズが追加される)
・数字の誤記(日付、数値、参照符号の分離)
・主語や係り受けの間違い
・MT出力に起因する間違い(単語の繰り返し)
・全角/半角の表記
(英日)
・常体と敬体が混在
(日英)
・単数/複数の間違い

 参考サイト:【セミナー報告】2018/10/26(金)京都 JTF翻訳祭 | みんなのワードマクロ

 上記の弱点を補うために、重要な用語を統一すること、機械翻訳にかける前のプリエディット、そして翻訳後のポストエディットが重要になります。このためのツールを開発されたのが新田順也さんで彼のサイトでは様々な翻訳作業効率化のツールが紹介されており、私が昨年から利用しているGreenTはその代表的なものです。

新田順也さんのページ:みんなのワードマクロ

GreenT(グリーンティー) | みんなのワードマクロ

 

ニューラル機械翻訳の弱点が全て解決されるわけではありませんが、昨今のニューラル機械翻訳の目覚ましい進化をみると、これからのフリーランスの翻訳業務には上記のようなツールが効果的な支援を与えるものと思います。

一般にはGoogle翻訳が代表的なニューラル機械翻訳ツールですが、最近利用開始された機械翻訳エンジンDeepLも注目されます。Google翻訳とDeepLの比較も新田さんがされていますので、興味のある方はサイトを参照ください。

【機械翻訳】DeepLとGoogle翻訳の性能を比較 | みんなのワードマクロ

 

GreenTの利用により1日で出来る翻訳料は英→日で約2倍になりました。

建設現場の安全活動を英語で説明する-~(3)安全管理関連用語

現場の安全管理活動に加えて、日本の建設現場事務所が実施する安全管理活動は以下の項目が含まれます。

 

① 安全担当者の割り当て(Assignment of a Safety Leader)

元請けと協力業者の一社から「安全担当者」が(通常週単位で)指名され、彼らが現場安全管理と朝礼・昼礼の進行を担当します。Normally every week, the general contractor's site office and one of vendor companies designate the persons in charge of the on-site safety as the “Safety Leaders.” They take the primary roles to manage the on-site safety and the morning/after-lunch meetings. 

② 安全衛生協議会の開催 (Covening a Safety and Health Conference)

通常月1回ベースで、元請けは外注先関係者(一次、二次下請けを含む)を集めて「安全衛生協議会」を開催します。これには現場のパトロールと協議会が含まれます。この協議会では翌月の工程確認やパトロールで見つかった安全上の問題、その他安全にかかわる対策や計画などが協議されます。Usually once a month, the general contractor's site office invites parties involved in the site operations (including the 1st and 2nd tier sub-contractors) to hold the “Safety and Health Conference.” It includes the site safety walk-through and the safety meeting in the conference room. In this conference, the work scheduled for the next month, the safety issues found on the site, and other safety and risk prevention measures/plans are discussed.

③ 緊急第一報回覧 (Circulation of Initial Report of Site Emergencies)

元請け会社本部はそれが管理する現場で傷害を含む事故が発生した際には、すべての現場に「緊急第一報」をE-mailにて送付します。これにより現場安全への注意を今一度喚起するとともに、各現場で類似の状況が発生していないかを再チェックすることができます。General contractor's Headquarters sends (via e-mail) the “Initial Report of Site Emergencies” to every job site office under its supervision in the event of an accident involving injuries on the job site it operates. This report helps the job site personnel reinforce their focus on the site safety and allow them to re-examine whether similar conditions currently exist on the job site.

 

以上の例はある特定の組織における実践と用語を参考にしたものですので、業界の標準ではありません。

「大口径深礎工」の”深礎”って Deep Foundation? それともCaisson?

鉄道橋梁の建設を含む土木関連の資料の英訳を行った際に「深礎」と言う言葉を含む「大口径深礎工」と言う用語がありました。従来の建設用語辞典、Weblio和英辞書などを検索すると「深礎:caisson (type pile)が多くヒットします。そこでcaisson を訳にあてようとしたのですが、caisson は「ケーソン」すなわち潜函工法であり、実際に紹介されていた工法は「逆打ち工法(inverted construction method, top down construction method)」を採用した基礎建設工法でした。

一例として下記のサイトを参照してください。

宮坂建設工業株式会社 | 技術・サービス - 基礎工 - 大口径深礎工

プロジェクト担当者によると、この種の後方で商標党則されているものの中には "SHINSO method"として英語で紹介されているものもあるようでした。この例のような場合、「大口径深礎工」の訳において深礎工はcaisson ではなくinverted-type deep foundation constructionとした方がよいと思われます。大口径はlarge diameterとなるので「大口径深礎工」=large diameter inverted-type deep foundation constructionとなります。

建設土木分野の翻訳をする際には実際の工法、技術、施工内容に関する知識・理解が必要なことはこのような事例からも理解されます。

建築用語~あ行

「工事現場ドットコム」サイトに掲載されている「建築現場で使われている!建築用語」のリストから英訳が難しそうなものを任意にピックアップして英訳を試みました。英訳は検索で分かったもの、自分なりに考えてみたものが含まれており、その正確さを保証するものではありません。

 

上がり框(あがりかまち):piece of wood at front edge of entranceway floor;upper frame; top rail; upper frame member
玄関などの三和土(=たたき、履物を脱ぐ場所;hard earthen floor)と、上がり口との段差の上端に取り付ける横木;crossrailのこと。

網代(あじろ);wickerwork
木材のそぎ板;shingle boardや竹皮;bamboo sheathなどを、編んだもの。天井などに使われる

いちころ仕上(いちころしあげ): single-step finish application, monolithic surface finish
本当は数工程も掛けて仕上る仕事を一回の工程で仕上げてしまう事/一発仕上とも言う。直仕上げと呼ばれることもあります。

一文字葺き(いちもんじぶき); dutch-lap method
屋根の葺き方の一つで、平板を屋根面の水平方向に一直線になるように葺く方法

芋目地(いもめじ); square joint; straight joint
タイル、煉瓦(れんが)、石、コンクリートブロックなどの積み方のひとつで、縦、横共、一直線に通っている目地

入母屋(おもや); hip-and-gable roof (structure)

屋根形状の一つで、上部においては切妻造(長辺側から見て前後2方向に勾配をもつ)、下部においては寄棟造(前後左右四方向へ勾配をもつ)となる構造をもつ

オルソデジ(おるそでじ); ortho (orthochromatic ) image digitization
オルソ画像;ortho (orthochromatic ) imageからその画像に写っている道路家屋等の地物をデジタイズすること

 

参考サイト:

kouji-genba.com

建設現場の安全活動を英語で説明する-~(2)「声かけ」ってなぁに?

何十年ぶりかに日本の建設現場に出てみて昔と比べると「変わったなぁ」と思う点と「変わってないなぁ」と思う点、様々ですが、現場の安全管理に関してはそれなりに改善がなされてきている一方で、書類やら会議やら現場視察やらが相変わらずフォーマット重視に傾いている感が否めません。また、日本の建設業は現場監督業務も安富管理業務も労働流動性が極めて低く(終身雇用のなごり)、業界全体の標準化が進まず、組織ごとにカスタマイズが深化して、これがまた標準化の妨げになっています。

 

話が少しそれましたね。現場の安全管理でよく耳にする言葉に「声かけ」と言う用語があります。建設や製造業以外の人には、児童の通学中、大人か「声かけ」をする活動がイメージしやすいでしょう。

建設現場での「声かけ」の主な目的は、”相互コミュニケーションをとりつつ「安全最優先」の意識をもって"安全意識を"「ご安全に!」の声とともに日々の作業を行う。これにより作業効率も上り、お互いに気持ちよく作業に取り組めるようなり、他業者とも積極的に声を掛け合えれば、より良好な職場環境をつくれる。現場責任者・職長を中心として、安全と風通しのよい職場の意識を高めていける有効な手段にもなりうる。”とされます。

この「声かけ(運動)」を単純に英語に訳すと"verbal contact (activity)"となるでしょう。ただ、これだけでは具体的にどういう事を実施するかが外国人には理解しづらいかもしれませんので、建設業に関しては"on-site verbal safety communication"としてはどうかと考えます。verbalとsafetyの間に(and) face-to-faceをいれるともっとわかりやすいです。

「声かけ」には作業を行う際の「合図:signal」「確認:confirmation」、安全行動に関する「指示:instruction」「注意:attention calling」「勧告:advice」、そしてこれらに含まれない「会話:conversation」が含まれます。

適切に「声かけ」を実践する、特に指示系統の上にある職員が積極的に実践することで安全に関しては効果があることが様々な研究で確認されています。

 

参考:Improving construction safety through leader-based verbal safety communication

https://www.researchgate.net/publication/47717410_Improving_construction_safety_through_leader-based_verbal_safety_communication