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建設現場と英語と時々ギター

アメリカでの仕事の経験をベースに翻訳やら通訳やらしています。ギターが趣味です。

建設現場の安全活動を英語で説明する-~(1)

アメリカと日本との建設現場はいろいろな面で違いがあることを経験してきました。

一例をあげるとヘルメット(英語ではhelmetよりもhard hatが一般的かもしれません)をかぶる際に日本ではアゴひも(chinstrap)をゆるみなく締めるよう指導されますが、アメリカでは普通の建設現場ではヘルメットにアゴひもはついていません。

これはヘルメットに何かが引っ掛かったときにヘルメットだけが持っていかれ、体はそこに残るようにしていること、また下をのぞき込むときにアゴひもが無いので動作がゆっくりになり転落のリスクが減る、と言う理由があるようです。

国内の建設現場で通訳・翻訳をしていた頃に、発注者側のユーザーグループの現場見学用に冊子を作成する機会があり、その中に現場の安全管理体制について記述しましたので、それをベースに日本の建設現場の安全管理の英語での解説を紹介します。

組織によって多少の違いはありますが、おおむねこの様な内容が含まれると考えます。

まず、特徴的な活動として「朝礼」と「昼礼」が挙げられます。

以下は朝礼(Morning Meeting)のメニューの一例です。

  • ラジオ体操 Warm-up Exercise in tune with the Taped Music
  • 各業者から作業員数、作業内容、新規就労者の報告 Reporting from the foreman of each trade regarding the number of workers attended, the work planned for the day, and, if any, the newly joined workers.
  • 当日の現場内作業の説明、注意事項伝達、資格証、保護具の確認 Instructions for the Work Planned for the Day
  • 資格証の確認 Checking the Workers ‘Licenses/Certificates
  • 日常行事の実施 Event of the day
    例:まぶたの家族運動(15秒間、家族や大切な人を思い浮かべ瞑想し、一日の仕事を終え、無事に家に帰れることを願う)、1人KY(自分の行う作業から考えられる危険を予知し、どのようにして自分の身体を危険から守るかを考え、発表する)
    Example: Meditation for 15 seconds to remind oneself of important persons in his/her life (e.g. family members) to vow to go home safely, Self risk prediction and presentation to think of the cautionary measures against potential risks involved in performing his/her tasks.
  • 安全コール(安全当番が言った後に皆で復唱する) Safety Call (The person in charge of the site safety reads the safety slogan out loud, and other people repeat it.)
  • 指差し呼称 Pointing and Calling (Inspection of outfits and gears of others)

昼礼(After-Lunch Meeting)のメニュー例としては以下が含まれます。

  • 作業計画変更の有無確認。連絡事項の確認 Reporting of any change in the work planned. Other instructions and notifications
  • 日常行事の実施 Event of the day
    例)一本足バランス、1人KY、安全靴チェック等 
    Example: One-leg stand test, Self risk prediction and presentation, Safety footwear inspection, etc.
  • 安全コール Safety Call 

パート(2)で安全管理業務について手短に述べることにします。

洋上風力発電~(2)

洋上風力発電建設プロジェクトには大型の資材、機器の搬送、据え付けが含まれることから通常の建設プロジェクトでは稀な機器、機材が使用されます。そのいくつかを紹介します。

 

SPMT (Self-propelled_modular_transporter): 一般に日本語でSPMTで表記されることが多いのですが、和訳をつけるとすれば「自走式モジュラートランスポーター」となるでしょうか。タワー部材(Tower member)、タービン・ブレード部材(turbine blade member)など非常に大きな資材を港湾地区で運搬する際に使用されます。

Self-propelled modular transporter - Wikipedia

 

SEP (Self-elevating platform): これもほぼSEP(セップ)と日本語で呼ばれているケースが多いのですが、和訳すれば自己昇降式作業(台)船となります。欧州では同様の作業船をjack up vesselと呼ばれることがあります。ここでの「vessel」は「barge」に置き換えられることがありますが、bargeは台船であり自らの推進力を持ちません。

self elevating platformとは - コトバンク

 

ロータナセル・アセンブリ(Rotor-Nacelle Assembly): 風力発電設備は大きく、基礎、下部構造、タワー、そして一番上のロータナセル・アセンブリに分けることができます。このロータナセル・アセンブリは大きな羽根(ブレード)が取り付けられるロータ(Rotor)とロータの回転を電気に変換する機器設備を収めるナセル(Nacelle (wind turbine) - Wikipedia)から構成されるもので風力発電の心臓部分と言えます。

 

 

洋上風力発電~(1)

昨年、とある派遣先で翻訳を担当したのが国内に計画されている洋上風力発電プロジェクトの見積及び提案書の英訳でした。

 

再生可能エネルギーの一つとしては太陽光発電、陸上風力発電が2011年以降採用が進められてきましたが、風力発電、とりわけ洋上風力発電に関しては技術的にも実施面でも、日本は欧州に大きな後れをとってきています。そのため国内で洋上風力発電を計画する場合、そのエンジニアリングから設置に至るまで多くの部分を海外のノウハウに依存しなければなりません。従って洋上風力発電プロジェクトを国内で実施する場合は英語を取り扱う状況が出てきます。

 

洋上風力発電自体かなり広範に及ぶトピックです。ここでは少しずつですがいくつかのキーワードを英訳を交えて解説してみます。

 

洋上風力発電(offshore wind power generation)を大きく二つに分けると支持構造物を直接海底に埋め込み、固定して建設する着床式(bottom-mounted)と、船舶のような浮体構造物を建設し、海底に固定したアンカーに繋ぎ止める浮体式(floating)が挙げられます。

 

大規模洋上風力発電には着床式が採用される場合が多いのですが、この支持構造物の種類がいくつかあり、海底地盤に打ち込まれた杭の下部構造(substructure)と上部構造(superstructure)とが一体化したモノパイル方式(monopile type)、支持構造物が櫓のような骨組みを持つジャケット方式(jacket-type)、海底地盤に直接設置される重力式(gravity base type)などが基本の基礎構造タイプとなります。

 

下に示す各方式の概念図を参照してください。

f:id:takamasa0425dilbert351:20200507130103j:plain

洋上風力発電基礎構造の種類

 

(参考資料)着床式洋上風力発電導入ガイドブック (第一版)NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構

 

公開情報を利用した気象条件の工程影響評価実例

日本では工程遅延、重要マイルストーン未達はほとんど施工者側の責任に帰され、訴訟を含め争議になる事はレアケースですが、海外プロジェクトでは建設契約訴訟の多くが遅延に関するケースで、発注者、請負者共に自身をまもる上で工程遅延の要因には神経を使います。

 

今回は気象条件が工程にどのように影響を与えたであろうかを、ある程度の合理性を持って提示した実例を紹介します。

 

工事に影響を及ぼす気象条件として代表的な雨量と気温(夏季:最高、冬季:最低)、それと該当年に襲来した台風などが挙げられます。

 

雨量、気温共に工事現場に近く、代表値として使用できる観測地点を選択し、気象台データから該当年分と平年値が入手可能です。雨量は一旦降るとその影響が複数日続く事も考慮して週単位にまとめます。こうして気象情報に関して該当年と平年とを重ねたグラフを作成します。

 

次に工事記録を基に、気象の影響を受けやすい工事の工事期間を時間軸に沿ってバーチャート表示します。

 

こうして作成されたのが下のグラフです。

f:id:takamasa0425dilbert351:20200504102327j:plain

雨量情報

f:id:takamasa0425dilbert351:20200504102407j:plain

気温情報

「降水量」からは平年値に比べて降水量の多かった時期が影響を与えた工事は以下であることが分かります。

A. 杭工事

B. 基礎掘削の後半

C. 基礎躯体工事の初期、及び後期

また、7月以降の降雨量は平年値に比べ低かったので鉄骨建方に雨の影響は認められません。

また「最高気温」からは平年値に比べて最高気温の高かった時期が、鉄骨建方工事のほぼ全期間に渡っていることが分かります。

 

上記の事実からプロジェクトが降雨と高温により悪影響を受けたのは否定できないと言えます。ただし、一体どのくらいの日数をロスしたかはこれらのデータからは導き出せません。その点に関しては協議の対象となるでしょう。実際には施工者側の努力レベルを提示することしかできないかも知れません。

 

注意するべき点は平年値と比べると近年、気温は明らかに上昇傾向にあると言う点と、平年値はかなり昔の(数年から十年以上前の)データが混ざっている事です。より最近の傾向を考察するには該当年の前年のデータから5〜10年分のデータを調べる必要があるかもしれません。

 

 

東京国際フォーラム

f:id:takamasa0425dilbert351:20200429100542j:plain

 

概要

設計:ラファエルヴィニオリ設計事務所

構造設計: 構造設計集団<SDG>

施工: 大林組鹿島建設ほか

 

この記事は以下の出版物、ウェブサイトを参考にしています。

-「構造デザインマップ 東京」(構造デザインマップ編集委員会)総合資格学院 
- 建築物について | 東京国際フォーラム https://www.t-i-forum.co.jp/about/building/

- 宮地エンジニアリング(株)宮地技報No.11「東京国際フォーラムでガラス棟の鉄骨建方工事」

 

この建物の大きな特徴の一つには屋根を構成する舟底状の巨大なキール鉄骨(竜骨)とそれを支える大きな柱が挙げられます。

ここでは「キール鉄骨」について少し調べてみました。基本となる舟底状のフレームは舟底にかかる水圧に耐える形状なので陸上構造物ではドーム屋根、トラス屋根をひっくり返した様なものです。

 

この建物にこのシステムが使われた理由としては以下の事を想像します。

1) 柱を極限に減らした屋内大空間

2) ガラス張りの側面

3) 平坦な屋根面

 

完成した形からは見えにくいのですがキール構造の内側に鋼管のアーチがキール構造の横材(リブ材)を貫くように走っています。これは圧縮材としてキール(竜骨)からの荷重を受けます。同時に引張り材としてのケーブルが懸垂状に張られ、これもまたキール(竜骨)からの荷重を受けます。アーチとケーブルは大柱で支えられ、ここで柱頭にかかる横方向力、モーメントが相殺され柱への負担をより軽減します。

外壁面のガラスの自重は一旦屋根へ伝わりそこからアーチとケーブルを介して柱に伝わります。

荷重伝達経路が長くなり構造的に経済的とは言えませんが、建築意匠上の重要性からこのような構造になったのでしょう。

 

Keywaords:

キール(竜骨): keel ( arch, frame)

柱頭部モーメント: bending moment applied to column head

 

 

 

 

コロナ禍でのブログ再開

ずっと外に出る仕事から離れていたので今更自宅隔離と言う訳でも無いのですが、これを機にブログを再開します。

 

建設施工管理やら東京の建物ガイドマップやらを参考にして、これは英語でどう言う表現になるのか考えをまとめてみたいと思います。