にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村にほんブログ村 音楽ブログ ソロギターへ
にほんブログ村

建設現場と英語と時々ギター

アメリカでの仕事の経験をベースに翻訳やら通訳やらしています。ギターが趣味です。

翻訳支援ソフトからニューラル機械翻訳へ

私が在宅でフリーランス翻訳を始めたころから翻訳支援ソフトとCD-ROM用語辞典を使用しています。今現在もPCにインストールされているのは、

翻訳支援ソフト:ATLAS (V14) (Fujitusu)、と

180万語対訳辞典(日外アソシエイツ)です。

IT系の翻訳ではTradosが昔から多く使用されていましたが、建設土木系の場合、「繰り返し使われるフェーズが少ないので翻訳メモリが余り使えない」「複数の翻訳者が協同で一件の翻訳案件に取り組むことが少ない」こともあり、原文ファイルに訳文をそのまま反映できるソフトで比較的入手しやすいものを選びました。

翻訳支援ソフトを使うことにより、翻訳原稿が読み取り可能なフォーマットであれば、訳抜け、頻出用語の訳ブレの回避、スペルミスの抑制、翻訳メモリの活用などで作業効率は改善されます。その一方、翻訳支援ソフト自体の「翻訳能力」はソフトに内在するルールとプログラムによって決まるので訳文自体は翻訳者の修正が必要になります。翻訳者の能力がこの修正の水準を左右します。

私の経験からすると建設土木関連文書は、その原稿を作成する個人・組織の「個性」が大きく反映されていて(標準化がされていない)、まったく聞いたことのない用語が割と頻繁に出てきます。従来の機械翻訳ソフトや翻訳支援ソフトは、こういった特異な用語が入るとかなり翻訳精度が落ち、翻訳不能になることもありました。

ここ数年、Google翻訳のようなニューラル機械翻訳が広く使われるようになってきて、私も気になっていましたが、ニューラル機械翻訳自体の持つ弱点があり、実際の翻訳への適用を控えていました。

弱点には以下のものが含まれます。

・専門用語の間違い(誤訳、略語の誤判定)
・訳揺れ(文章間で異なる訳語)
・訳もれ(単語、文章単位、肯定/否定)
・並列関係の間違い
・フローティング(単語、フレーズが追加される)
・数字の誤記(日付、数値、参照符号の分離)
・主語や係り受けの間違い
・MT出力に起因する間違い(単語の繰り返し)
・全角/半角の表記
(英日)
・常体と敬体が混在
(日英)
・単数/複数の間違い

 参考サイト:【セミナー報告】2018/10/26(金)京都 JTF翻訳祭 | みんなのワードマクロ

 上記の弱点を補うために、重要な用語を統一すること、機械翻訳にかける前のプリエディット、そして翻訳後のポストエディットが重要になります。このためのツールを開発されたのが新田順也さんで彼のサイトでは様々な翻訳作業効率化のツールが紹介されており、私が昨年から利用しているGreenTはその代表的なものです。

新田順也さんのページ:みんなのワードマクロ

GreenT(グリーンティー) | みんなのワードマクロ

 

ニューラル機械翻訳の弱点が全て解決されるわけではありませんが、昨今のニューラル機械翻訳の目覚ましい進化をみると、これからのフリーランスの翻訳業務には上記のようなツールが効果的な支援を与えるものと思います。

一般にはGoogle翻訳が代表的なニューラル機械翻訳ツールですが、最近利用開始された機械翻訳エンジンDeepLも注目されます。Google翻訳とDeepLの比較も新田さんがされていますので、興味のある方はサイトを参照ください。

【機械翻訳】DeepLとGoogle翻訳の性能を比較 | みんなのワードマクロ

 

GreenTの利用により1日で出来る翻訳料は英→日で約2倍になりました。